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ケン「…しかしハナさん、何で俺なんかに…」
ハナ「何でって…うちが面食いだからにしといて」
ケン「面食いね…(軽笑)でもハナさん、いいよ。おなさけでなぐさめてくれな
くたって。俺なんか弱虫で、最低の男さ。あとでハナさんが後悔するに決まってる…」
ハナ「…うーん、まったく!ほらケンちゃん、下向いとらんと、うちの顔ば見
ない!うちにはな、表によう出れんと、心の中で小そうなっとる、まことのケンちゃんが見えとるんよ。檻にほたらかされて、いじけたままのケンちゃんが。そのままにしとくんか、一生。云いたいことも、したいこともようさせんと…なんがおなさけね、なんが最低の男ね。それこそ心の中のヤクザの云いぐさったい。ケンちゃんの言葉じゃなかよ。運命(さだめ)を越えんと!二人して…どげんするとや、ケンちゃんの気持ちひとつでっしょ!」
ケン「…そうだ。その通りだ」
ハナ「うん、だから…まったく。こげん荒けなか女子(おなご)がおうじょう
してこさえた色気、どげんしてくれるの?(艶笑)」
ケン「ハナさん、詩をひとつ読むよ…星は、きみの耳殻に落ちて…」
ハナ「(艶笑)うちの耳つまみんしゃって…」
ケン「バラ色にすすり泣き…きみの首筋から腰にかけて…無限がその白さを転
がした…きみの乳房は…あこやだま色に照りはえてゆらめき…男は、その妙なる横腹に…黒い血を流した!」
ハナ「ケンちゃん…」
ケン「ハナさん!俺は何をしていたんだろう?自分から逃げまくって…わから
なかった。戦わなかった。心のヤクザと。ハナ、おまえをもらうぞ!」
ハナ「ケンちゃん、あたきの、よか男…」
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