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石の魔法。
今までは科学と言われていた。
けれど、違った。
石を打ち付けて起こる炎は、人によって大きさが変わることが判明したのだ。
その判明によって、科学で説明できないもの全てが”魔法”として説明できるようになった。
だが、よく本である物語のように箒で空を飛んだり指先で物を動かしたりすることは出来ない。
判明したばかりだからか、誰も扱いに慣れていないのだ。
それゆえに、魔法は実在するものだが、実用的ではないものとされている。
けれど、やはり実用的にはしたいもの。
なので、義務教育で”魔法学”が導入されている。
少年は。
その魔法学で一番の落ちこぼれ生徒だった。
皆が石を打ち付け炎をいとも簡単に出す中、少年だけが煙すらも出せないのだ。
「お前には一生使えないんだよ」
「一生魔法とは縁がないんだよ」
「大人しく紙の勉強してたらいいんだよ」
そう笑い飛ばされ、けなされ。
先生からは、「他のクラスは出来ているのに・・・最悪だ」とため息を吐かれるばかりだった。
誰もが僕を馬鹿にする。
石を打ち付ける手に、ポタポタと滴が落ちていった。
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