相性

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いつの間にか少年は大粒の涙を流しながら石を打ち付けていた。 何故。 何故。 僕だけ。 僕だけ出来ないんだ。 カーン!!!!! 打ち付けていた石が割れた。 シートの上にあった石は三つに割れ、まだ手に握りしめている石は少し欠けて先っぽが尖っていた。 少年は割れた石と欠けた石を山積みの石の中に放り投げた。 そして、その場に体育座りをして顔を埋める。 低学年の間は、よかった。 使えない人の方が多かったから。 でも、10歳を過ぎた年になったら、違う。 出来て当たり前となっていた。 「僕、生きてる意味あるのかな・・・」 一人だけ出来ない。 それが、こんなにもつらいとは。 「おや、そこの黒髪の坊や。もうすぐお家に帰る時間じゃないのかい?」 突如頭上から振ってきた声に少年ははっと顔を上げた。
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