アネコムシ

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アネコムシがやってきた あのとき窓からなげたのに 慈悲をもってなげたのに つぶすとくさいからなげたのに 外の世界が厳しいからか 私の部屋が快適だからか アネコムシがやってきた ここは人の家 人間の家 アネコのいるべき場所じゃない おまえのテリトリーなどではない それでもアネコはやってくる なげどもなげども また入る 扉を閉めても 窓を閉めても まだまだアネコはやってくる 学校の教室に入っても やっぱりアネコはそこにいる 扉から窓から廊下から 授業 給食 昼休み いつでもアネコはやってくる 春夏秋冬 朝昼晩 いつでも構わずやってくる 死んでると思って近づけば なげようと思って近づけば ピクピク もぞり 生きている こっちに来んな 遠くへ空へ 行けと願えど まだそこに 今日は会わないと思ったら いい気で寝ようと思ったら 足にいやな感触が プチッ グシャリ いやなにおい ああ最悪だ マジ勘弁 滅べばいいと思っても 後々困るのは人間だ 害虫害獣を滅ぼしてから 後悔したのは人間だ だけど私にゃわからない アネコが滅んで何が悪い? それほど私は怒ってる もしもアネコが消えたなら この世界から消えたなら どんなに楽しいだろうかねぇ 男はアネコを近づけない 女もキャアキャア騒がない デートの前に 臭いもつかない プールで下を見なくていい アネコの腹色の世界から 清流のせせらぎ色くらいにはなるだろう そんな夢から覚まさせようと 壁にアネコがついていた そいつを部屋から出すために 私の慈悲で救うため 部屋に臭いをつけないように 私は不用な紙をとる 窓までの道を考える 今日もアネコを救わねば
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