第一章ヤンキー娘、異世界に行く

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「…申し訳ないが、鉄の馬を鳴かせないで頂けるか」 『…バイクは走らすと音が鳴るもんや。無茶言わんといてくれるか』 「バイク?」 『これの事や』 そう言ってバイクを指す。私と隊長のやり取りを周りの騎士達が馬を宥めながら見守る。 「では、走らなければ今のような静かな状態か?」 うんうんと首を縦に振って肯定すると、横にいた騎士にベルナールは目で合図を送る。その騎士は負傷兵の乗った馬車をこちらに移動させて来た。 なんや嫌な予感がするで…。 「こちらにトーカ殿の鉄の馬を誘導して頂けるか」 ベルナールという男からバイクを馬車に乗せるように言ってきた。 負傷兵も気味の悪いバイクが乗合すという事で、存分に嫌な顔が見受けられた。が、隊長命令では仕方がない。 嫌々納得をした負傷兵と、納得のいかない私。 納得できんまま、私1人で馬車に乗せれないと言うと手の空いている兵士4人を呼んで、積み込みさせた。 横の負傷兵から「…これ、暴れませんか?」と聞かれて、バイクに乗れない腹いせに『暴れはしいひんけど、噛むかもしれんな!』と言った瞬間、バイクを持っていた兵士と負傷兵が同じ言葉を出した。 「「ト…トーカ殿!この鉄の馬の口は何処でございますか!!」」
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