第一章ヤンキー娘、異世界に行く

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「ベルナール!無事で何よりだったな。女子に助けて貰ったんだって?その子、美人か?歳いくつだ?今からラムス閣下の所に行くのか?俺もついて行っていいか?」 陽気な雰囲気の男だが、これでも諜報部のやり手だ。 「マルクスその情報は余りにも早過ぎるだろう。情報源は何処だ。言った奴を処罰する」 「大事な情報源を売ると思うか?で、今から閣下の屋敷に行くんだろ?」 「・・・。」 この廊下を歩きながら、先程の行動に反省しながらも頭は迷い人のトーカの事を考えていた。こいつの言う通り、この後暇を貰った事でラムス殿の屋敷に行くつもりだった。これは、俺の頭で考えていた事だ。誰にも言っていない。 解せない顔でマルクスを見ると「やっぱり当たったー!」と言われた。 俺の心を読まれたと言う事か……。 「確かに今から行く所だが、俺はラムス殿に会いに行くだけだ」 「お前、将軍閣下のことラムス殿って……」 「元将軍閣下だろう。戦に出る身で残す妻子が哀れと言って独身を貫き通し、今になって独り身が寂しいとほざいて、将軍職を辞し妻探しの見合いをされている一般人だ。年配の敬意で殿は付けている、問題はない」 「辞してねぇし!王やお前の親父が握り潰しただろう。保留になってんだよ」 「ご本人が辞すると言われた以上、そこは尊重すべきだと思うが」 「………もういいや。取りあえず俺も行く。見定めにな!」 ラムス殿以外にも見定める者として、諜報部からこいつが選ばれたか…。眉間に皺を寄せながらマルクスを見ると、俺の心をまた読んだのかこう言われる。 「お前が信用してるって事は、信用度0からのスタートではなくまず50からのスタートって事で!」 そう言って、俺の肩に手を置いた。
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