第五章これが最後だ!ヤンキー娘、雨降って地固まる。

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そして、大変苦労したという交尾が終わったベルナールとトーカは、その後、身内だけで簡単な結婚式をやった。祖の王の娘としてではなく、ただの神崎桃花としてベルナールに嫁いだ。 シュヴァイン家で覚える事は多く、現場監督の任を降り、今は王城勤務となり、金儲けの案を出す相談役的な役職についている。 だが、誰もあいつの所に相談に行ってるのを見た事がない。人の斜め上をいくこいつの案は、ゲル様の所で却下されるのがオチだからだ。 そのゲル様も、失恋の痛みはまだ引きずっているようで、時折、トーカが城内を歩いているのを切なそうに見ていた。失恋者が同じ城内に勤めてるというのも、辛いな…。こればかりは、どうにもならない。ゲル様の気持ちを思うと、やるせないばかりだ。 ふと窓下から歌が聞こえて来る。トーカだ。さっき健太が寝ていたそこに腰を下ろし、ザルビア観光の道中で歌っていた歌を口ずさんでいた。その歌の名を聞いたら"上を向いて歩こう"だと答えたあいつに、何だよそのふざけた題名は!って突っ込んだ事を思い出す。 あの時は、歌詞の内容に疑問も共鳴もしなかったが、今聞くといい歌だと思う。
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