社畜童話~ぼくのパンケーキ~

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社畜童話~ぼくのパンケーキ~

 長田が行方不明になったと聞いたのは、彼が失踪してから1カ月も過ぎた頃だった。 「ほんとに、中島さん知らなかったんですか!? 同期なのにひどい! 冷血人間!」 言葉はきついが、宮崎の顔は笑っていた。コーヒーをすすりながら、俺は首をすくめる。 「そうは言っても、長田とは部署が違うからな。最近は仕事が忙しくて連絡も取ってなかったし」 「たしかに、最近は泊まりの連続でしたもんね。俺、今月で電話取るの怖くなりましたもん」  隣で西野がコーヒーを両手で持ちながらブルブルと頭をふる。大方、客先からの苦情電話を思い出しているのだろう。先月リリースしたシステムが波に乗るまではと多少覚悟はしていたものの、今回の波は部署ごと飲み込んでそのまま孤島へでも押し流されるのではないかと思うほどに大きかった。 「二人とも、よくがんばってくれたな。障害通知もここ1週間は来ていないし、まずまず落ち着いたと思うよ。今日は祝杯といくか」     
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