真冬の太陽

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 口、鼻、耳……同時に冷たい海水がなだれ込む。体のどこへ入っているのかもわからない。言葉には言い表せないような苦しさと、恐怖がどっと襲いかかる。いくら両手で水を掻いても身体は浮かず、自分の口や鼻から吐き出された気泡だけが水面に向かって泳いでいく。何もかもが手遅れだった。  ――ああ、あんなこと、言わなければ良かった。  こんなことならまた、戻りたい。まるで何事もなかったかのように。  もう、すべて手遅れだと思った。 「聞いた。確かに聞いたぞ」  頭の中で、ぼんやりと声が響いた。  それから目を覚ますと、私がいたのは次の日の朝だった。  何事もなかったかのように、私は自分の部屋に戻ってきていた。  カーテンを開けると、透き通る朝の光が部屋いっぱいに入り込んだ。  心なしか、いつもより優しく暖かい朝日だった。 「あなたが連れてきてくれたの?」  私は朝の空気を吸い込んだ。
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