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でもね、と、彼女は言った。
「私は思うの。その街の人々にとって鳥は、唯一の救いなんじゃないかって」
「いつか、私たちの街にも卵が落とされて、皆眠るように死んでいくんじゃないかって」
僕は、彼女の髪を、ゆっくりと撫でた。
涙はもう、止まっていた。
さ、もう寝ましょ、と、彼女は言うと、再び目を閉じた。
彼女が眠りについたことを確かめて、僕もそっと目を閉じた。
眠りに落ちる時、僕は鳥の羽ばたきを聞いた。
<了>
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