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「主人のこと好きじゃなかったわ。でも、長年連れ添う間に育まれるものもあるのね。感謝してるわ。主人はこんな私や家族を愛し、守ってくれた」
「ご主人は、その人のこと……」
「主人に洋司さんのこと、話したことはないの。知っていたかもしれないけれど」
「あ、でもお孫さんが」
「ユキのことね。孫の「どうして? どうして?」に負けたのよ」
といった加代は、ゆかりに弱り顔をして見せた。
「あぁ、ゆかりさんはまだ若いからそんな目にあったことないわよね。自分の子の「どうして?」なら、軽くいなすのに、孫の「どうして?」はやり過ごせなかったのね。うっかり喋ってしまって。あの子、他の家族には黙ってくれているみたいだけど」
結婚にすら、自分でもはっきりと理由がわからないためらいの沼にはまっているゆかりには、孫が生まれてからの先なんて想像もつかない! 自分の祖父母は……と考えてみれば、父方も母方も他県に住んで今は他界している。申し訳ないけれど、会話した記憶が曖昧であまり思い出せない。幼い頃は、きっと可愛がってもらっただろうし、色々話したかもしれないけれど……。
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