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 それを言ったら、私がここに来たのだってわがままだ。追いかけて来てほしいって。まだ私のこと好きでいるって、私にわからせて欲しいって。  尚人さんにばかり、要求している。  ドロドロ、ベタベタとした、ほんと、小っ恥ずかしいような独占欲。  そんなのに比べたら、加代の思いはもっと純粋で綺麗で、透き通っている。  加代の思いと自分のそれをわがままという同じ言葉で括るのは本当に申し訳なくて、気がつけばゆかりは加代の手を握り、 「そんなこと言わないでください。私もその思い出の場所を、光景を、探してみますから」 と、宣言してしまっていた。
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