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そして、日中だというのに生い茂る緑が太陽を遮っているせいか、寒い、冷える。
心細い。
もしかして、私、迷った?
いやいや、大丈夫。私にはスマホという文明の利器がある。いざとなったら、スマホのGPS機能で位置情報を確認すれば……。
そのとき、踏み出した先、足裏に力を込めようとした瞬間、つるりと地面がなくなる感覚。
——あ?
ゆかりの意識が途絶えた。
どれくらい経ったのか。
目を開けると、星が。
「星、すごっ」
と、感動している場合ではない。
ゆかりは地面の上に、仰向けで倒れていた。
夜になってしまったんだ……と思う。
首だけ動かして見上げれば、頭上に一箇所せり出して崖のようなっているのが月明かりで見えた。
そこから足を滑らせたのだろう。だって、足元、草ボーボーで、まさか急に地面がなくなっているなんて思いもしなかった。まるで落とし穴。してやられた感じがする。
起きあがろうとすると、体のあちこちが痛い。むき出しの腕は擦り傷ができているみたいで、草の露にあたるとしみて飛び上がりたくなるくらい痛かった。
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