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それだけでゆかりの思考はトロトロになってしまう。そのことを尚人に悟られているのがわかるから、ゆかりはさらに恥ずかしくなる。
「その結果、当然俺は忙しくなってさ。もちろん通り引き先云々は営業が窓口になるわけで俺が担当になるわけじゃないんだが全くノータッチにもできなくてね……休日出勤が増えるかもしれない。つまり二人の時間が少なくなる。確実に。君の顔を見る時間が減ってしまう。前みたいに同じ職場じゃないからね」
恨みがましく言われているのに、トロトロな状態のゆかりには尚人の吐くどんな言葉も睦言に聞こえる。
「は、はい」
困っていたのは、恥ずかしがっていたのはゆかりのはずなのに、ゆかりのとろけた返事に眉を八の字にする尚人が可愛らしく見えてきてしまうのだ。
「俺の今の状況は君が生み出したものとも言える。だが、あれこれ言っても仕方ない」
あ、私のこと怒ってないんだ……と胸を撫で下ろしつつゆかりがウンウン頷いていると、と、
「と言うことで……要するに俺の手元にいて欲しい。だから同棲と言ったんだが……そうだな。いっそ、結婚しようか」
結婚!
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