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第一話 第三章
───喫茶店に店長を一人残し、二人は連れ立って歩く。
小夜さんの案内の下、喫茶店が建っている休憩所の先へと進む。
此方側に来るのは本当に初めてになる。
住んで居ても地元で行った事の無い場所は結構あったりすものだ。
やがて林道モドキを抜けて、本格的な歩道に出た辺りで。
「何だか巻き込んでしまってごめんなさい。
とても喫茶店の店員さんがする事じゃないわよね。」
隣を歩く女性。依頼主の小夜さんが、
困った様な笑顔と共に謝罪の言葉を口にする。
「あー…。いえ、その分はしっかり店長から貰いますから。
だから気にしないでください。」
「まあ。しっかり者ね。」
そう話しては“クスリ”と笑う小夜さん。
大人の人でもこんな風に笑うんだと思う一方で、
何処かそれが様に成っているとも思えた。
これがよく聞く大人の魅力と言うやつだろうか?
小夜さんは小さく笑うと。
「それにしたって普通は断りそうなものなのに。
何かあの人に弱みでも握られてるの?」
「だったらもっと素直ですよ。」
冗談めかしに話す小夜さんに釣られ、自分も同じ様に応える。
でも、僕は内心であのお茶の所為です。とも考えていた。
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