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ので! バイクゲッツの為に、俺は今年の夏休みはバリバリにバイトしまくるぜぇ!」
「おお、頑張れ。」
気合満点に空へ手を上げて叫ぶ友人。
人通りのあるこんな場所ではやめて欲しい思いながら、
その友人へ気の無い声援を送る。と、何故か彼は固まってしまった。
僕が不思議に思っていると彼は頭をがっくりと落とし。
「そんなんだからよー…。」
彼は顔を此方に向け、曇った表情で。
「今回の夏休みはあんま遊べねーと思うんだ。
すまねぇ! 恒例の山キャンプも出来っかわかんねー!」
彼の無念そうな報告を聞いて、
僕は自分の顔が大きく歪むのを感じた。
「……何でそんなに嬉しそうな顔してんだ?」
「それは───」
嬉しくて当然じゃないか。この前の夏休みには、毎日毎日毎日君が押し掛けて来ては。
何処其処へと無理やり連れ回されたのだから。
それが今年は無いと言われれば笑顔も自然と溢れるさ。そう僕が包み隠さず彼に話すと。
「なんっだよ! 楽しかったろ!?
恒例の山キャンプとか!」
「あれは多分遭難一歩手前だったし。
恒例って言うけど、キャンプはこの前が初めてだったよね。」
確かに少しだけ楽しかったけど、
あんな物を恒例にして欲しくはないのでそれは黙って置こう。
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