第一話 第二章

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 店の鍵については一旦深くは考えず。  昨日教えてもらった照明のスイッチを操作し、店内の明かりを点ける。  薄暗かった店内に明かりが満ち。店の奥で例の物が姿を表す。  モダンな店内で唯一異質な物体。謎の祠は昨日と同じ場所にちゃんと建っていた。  かなり怪しいが、僕はアレを気にしない事に決めた。  祠は気になるけど、それをマスターさんに聞くのも何か怖い気がする。  聞いて何か怖い謂れでも話された後悔しそうだからだ。  照明を点けた僕、着替える為に祠の脇を通り抜け。店の奥にあるスタッフルームへ向かう。  と、祠とすれ違って奥へ行く途中。店のホールから“りりん…。”  そんな鈴の音が聞こえ、振り返る。  少し戻って確認しても、店の出入り口に人影は無く。また扉が開いた気配も無い。 「?」  聞き間違いか空耳か。はたまた隙間風で扉のベルでも鳴ったのかな?  まあ何でも良いやと思い、僕は再び奥へ。  誰も居なく成った店内。“りぃん…。”と。祠から鈴の音が微かに響く───  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇  ───店内には少年一人。  着替え終わった僕は、と言っても。紅葉色の腰下エプロンを着けただけ。     
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