第一話 第二章

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 こんな形で温くさせるしか方法が思い付かない。  暫くしてミニタオルを外し、湯呑に手を軽く触れて温度を確認する。多分温い。  僕は別のミニタオルで湯呑を軽く拭い。カウンター向こうの女性客の前へと置く。 「お待たせしました、ほうじ茶です。」 「ありがとう。」  女性客は静やかに湯呑を手に取り、そっと口を着ける。  緊張の一瞬。少しでも湯に詳し人がさっきの僕を見れば怒るかも知れないが、  あれが僕に出来る全力だったんだ。こんな状況だ、大目に見てほしい。  内心で変な言い訳を考えながら祈る。そして。 「美味しいわ。ありがとう。」  茶を一口飲み終えた女性客は、控えめな笑顔と共にお礼を口にしてくれた。  その言葉を聞いた瞬間。息苦しさから開放された気分で、  自分が息を吸うのも忘れていたと気が付く。  乗り切った。乗り切ったんだ。僕を不思議な達成感が包み込む。  これで本当に一息がつける。 「ふう。所で此処の店長さんは?  ちょっと話したい事があるのだけれど。」  一息の時間はまさに一瞬。  女性客の言葉に達成感は脆くも崩れ去り、開放されたはずの息苦しが再び戻って来た。  これは絶体絶命。いや、冷静に考えればそんな事も無いか。     
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