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いやかなり凄く猛烈に気にはなるけど、今この瞬間だけはどうでも良い事だ。
この状況で頼れる大人が来た事に、責任の全てを担ってくれるだろう存在の登場に、
僕は大いに喜んだ。のだが。
「ピンチに駆けつけた訳じゃないでしょう?
大方、この子を驚かそうと早い時間に其処で待ってるうちに。
すやすやと眠りこけてただけでしょ。」
「んふ?! そん、な事は無いですよ?」
「それは口元の涎をどうにかしてから言いなさい。」
マスター、いや店長は。『やべっ』と小さく言いながら口元を拭う。
何て大人だろう。僕はこれ以上無く身内が冷めて行くの感じる。
やがて口元を拭った店長が此方をチラリと見てきたので。
「店長。此方のお客さんから話があるそうです。」
「その普段よりも感情の消え切った表情と抑揚の無さは、
喜びを押し殺していると解釈して置きます。
後マスターね、マスター。これ大事。」
そう言いながら店長は、僕が壁だと思っていたスライドドアを後手で閉め。
女性客の隣へと座り。
「バイト君。私にも飲み物をくださいな。」
「水で良いですか?」
「冷えてるなら何でも。」
水道水、は流石に良くないな。僕は仕方なく氷を容れた硝子コップを手に、
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