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僕の言葉に友人は“ぶーぶー”と何かを一頻り喚くと。
「ってよー。お前友達が俺しかいないだろ?
だから夏休みを楽しく過ごせねーのが申し訳なくてよ……。」
もの凄く失礼な事を言いながら彼は僕に謝る。
……実際友達と呼べるのは彼だけだ。
でもそれで僕は構わないし、別段友達を増やしたい訳でも無い。
夏休みは家でのんびり過ごせればそれで十分だ。
だから“別に君と一緒じゃなくとも僕は夏休みを楽しく過ごせる。”そう言おうとしたが。
「そうだ! お前も夏休み中にバイトしてみたらどうよ!」
「どうよって……。」
「ぜってー楽しいって! なぁ!」
友人は最高のアイディアだと思ったのだろう。
それから彼は駅に着くまでずっと、『素敵な出会いが~。』とか『人夏の過ち~』
だかがどうのと、やたらと高いテンションのままで僕にバイトを勧めてきては。
『姉が突然ダンスにハマりだした。』だの『バイクが楽しみ。』なんて、
夏休みへの楽しみを爆発させて話し続ける。
僕はそれを生返事で躱し続け、遂にゴールへ到着した。
其処は小さな駅。特急などで素通りされて仕舞う程度には小さな駅で、
今の僕には用の無い場所。
駅に付いた友人は財布を尻ポケットから取り出し。改札口へと向かう。
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