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「それは喫茶店が受ける仕事じゃないですよね?」
「うん。そうなんだけどね。
いやぁでもね、ご近所付き合いって大事な事なの。」
店長は“うんうん。”と自分の言葉に自分で納得を示している。
こんな場所でご近所も何も無いのでは? とは言えない。
口を挟みたくないからだ。そして再び店長は。
「それー…でね? 私はちょーっと忙しいじゃない?
ほら、店長がお店を開ける訳にはいかないし?
其処でバイト君が手伝ってくれたら嬉しいなー。なんて、なんて!
勿論バイト代も多く出しちゃうかなー!」
このままずっと喋らせていたら、その内酸欠で倒れて話が有耶無耶に成ったりしないかな?
何て事を考えても見たが、店長は捲し立てた後は急に静かになってしまった。
残念。それにしても僕の予感は的中した、してしまった。
この店長とはまだ会って二日にも満たないけど、忙しいなんて嘘だと思う。
忙しい人は雇ったバイトを驚かしたいからとあんな場所で待機はしてない。
考えながら“ジッ”と店長を見詰めていると、視線の先で店長が冷や汗をかき始めていた。
もしかしたらこの人は、駄目な大人なのかも知れない。
僕はそんな事を薄っすら思い始めていた。
「ごめんなさいね。」
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