第一話 第三章

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「結構遠慮がちな人だから、ただの手伝いではきっと追い返してしまうわ。  でもあの店長からの手伝いだと言えば、きっと遠慮もなさらない。  それだけの貸しがあの子にはあるからね。」  遠慮がちな人も遠慮しないほどの貸し。  あの店長は周りにどれだけ貸しを作っているのだろう?  僕が疑問に思っていると。 「そんな大きな貸しは私と其処の家主だけよ。  あの子もそれ程駄目な子じゃないのよ? ふふ。」  僕の顔に疑問の表情が出ていたのか、  困り顔の小夜さんが店長を庇う様に話す。  そう言えばこの人と店長の関係も分からない。友達とかかな?  もっと言えば何故そのお婆さんの手伝いを、この人が誰かに頼むのかも謎だ。  だけどまあ。そのどれも僕が分かる必要は無いかな。 「分かりました。店長からの使いと話せば良いんですね?」 「……ええ。お願い。」  小夜さんは何故か少しの間を僕を見詰め、  お辞儀をするともと来た道を真っ直ぐ戻って行く。  多分これから仕事に向かうのだろう。  僕は姿が見えなくなるまで見送る事はせず、  言われた通りの家を探して前を歩き出す───  ───暫く歩き続けていると長い塀が現れ。 「『ちょっと。』かなぁこれは。」  連続していた塀の切れ目。門扉の前に立ち、思わず呟いた。     
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