第一話 第三章

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 開いた門から見える中には古風な日本家屋が見えて、  それは屋敷と呼んだ方がしっくり来る代物だ。  立派な日本屋敷の姿に思わず、こんな建物が地元にあるのか。と見惚れてしまう。  何よりこの門扉。高いなぁ……。 「あの、家に何か御用でしょうか?」  僕は“ハッ”として見上げていた視線を下ろす。  視線を下ろした先には。  紫陽花が控えめに刺繍された羽織を着た、品のある婦人が。  不思議そうな表情で僕を見ていた。その僕は表情に少し慌て。 「喫茶店からの掃除で手伝いに来ました。」  思わずちぐはぐな日本語で喋ってしまう。  これじゃ意味不明だ。羞恥で少し顔が熱くなるのを感じながら、  言い直そうとして気が付く。僕は喫茶店の名前を知らない。  いや、多分見たけど覚えてない。  店の扉に何事か書いてあったはずだと、僕は思い出そうとするが。  店長が隠し扉から出てくる姿が浮かんでは邪魔をする。  想像の中の店長は大変良い笑顔で、少しだけイラつく。じゃない。  このままでは僕は不審者のままで終わってしまう! 「あら? 泉ちゃんの所の?」  どうやら先程の怪しい日本語で伝わったらしい。奇跡だ。  とも思ったが、喫茶店をやっている知り合いなんて早々居ないだろうし。     
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