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申し訳無さと羞恥で口吃ってしまう。
「さ。若い力を貸して頂戴。」
そんな僕に気を使ってくれたのか、深見さんは明るく話し掛けてくれる。
使われた気遣いに応えるように。
「はい。」
少しだけ力強く返事を返す。
笑顔で返事を受け取った深見さんに連れられ、僕は屋敷の中へと入る───
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
───屋敷の掃除は簡単な物では無かった。
前からしてあると言われた通り、部屋の掃除等は殆無く。
代わりにあったのは女性では動かし辛い家具の裏側とかの掃除。
重い家具をどかしてはその裏を掃除して。
長い廊下を雑巾を掛けて走る。これは少しだけ楽しかった。
まさに大掃除の厄介な部分を詰め合わせた内容。
中々の、違う。かなりの重労働。
確かに女性には元より、年を重ねた深見さんには難しい物だけが残っていた訳だ
育ち盛りの男子高校生でもこれはキツイ。だけどそれでもやり切った。
掃除しながら見る日本家屋を無理やり楽しみ、やり切ったのだ。
力の限りに言われた掃除を片付け、縁側へ倒れ込む様にして寝転がる。
「はぁ!はぁ!はぁ!」
息の荒さを整えられず、ひたすら吸っては吐いてを繰り返す。
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