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徐々に荒い呼吸が小さくなって行き、縁側へと流れ込んでくる
そよ風を感じる程度には余裕が戻って来た。
縁側で受けるそよ風がこんなに心地良いと思ったのは始めだ。縁側って凄い。
心地良さを満喫していると。少し遠くから小さな足音が近づいて来て。
「頑張ってくれてありがとうね。笠原くん。」
労いの言葉と共に盆を持った深見さんが現れた。
僕は寝転がるのをやめ、上体を起こして座り直す。
そんな隣に深見さんは静かに座ると。盆の上に乗っていたコップへ
長細い水差しから山吹色の液体を注ぎ、そのコップを僕へと差し出してくる。
手渡されたコップの中には並々と注がれた山吹色の液体。
「ありがとう、ございま、す。」
喉の渇きを自覚して、言葉が辿々しく成ってしまう。
でもそれを気にしている余裕は今の僕には無い。
お礼を言っては直ぐに液体を飲み込む。液体の正体は麦茶だ。
“ごっごっご。”と、自分にも聞こえるほど喉を鳴らしながら胃へと流し込む。
そうして一気に麦茶を飲み干し。
「っはー…。」
なんて、声とも息とも言えない何かが僕の口から溢れる。
飲み干した後。喉奥の冷えた感覚がまた言葉に出来ない快感だ。
僕は麦茶を余り飲まない、と言うか飲む機会が無かったのだが。
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