第一話 第三章

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 夏に飲む麦茶は最強かも知れない。なんて思ってしまう程度には美味しかった。  と、余韻を楽しんでいる僕へ深見さんが片手を差し出し。 「おかわりは?」 「お願いします。」 「ふふ。はい。」  深見さんは微笑みながら、手渡した空のコップへ  追加の麦茶をコップ半分注ぎ、此方へと返してくれる。  返されたコップを受け取り、今度はその中身を一口だけ飲み込み。  後の残りをゆっくり楽しむ。これはどうしようか。  本当に麦茶にハマりそうだ。夏の麦茶がこれほど魅力的で美味しいとは知らなかった。 「あらあら。余程気に入ったのね。」  何処か嬉しそうに話す深見さん。その笑顔は少し眩しくて、  眩しい笑顔の理由が麦茶にがっつく自分を見られたからと分かり、  何とも言えない気恥ずかしさがこみ上げてくる。  あれだけ動いた後にこんな美味しい麦茶を出されては、大人ぶったりなんか出来ない。  だから僕の振る舞いは年相応で、詰まりは恥ずかしくなんて無い。 「あーその、はい。こんなに美味しいと思わなくて……。」  ちょっとばかり早口に成ってしまっても、年相応だから恥ずかしく無い。 「夏の麦茶は格別ですものね。」  深見さんは悪戯っ子の様に笑う。そんな笑顔の中にも  何処か品の様な物を感じさせられて、何だか流石だなと思える。     
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