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夏に飲む麦茶は最強かも知れない。なんて思ってしまう程度には美味しかった。
と、余韻を楽しんでいる僕へ深見さんが片手を差し出し。
「おかわりは?」
「お願いします。」
「ふふ。はい。」
深見さんは微笑みながら、手渡した空のコップへ
追加の麦茶をコップ半分注ぎ、此方へと返してくれる。
返されたコップを受け取り、今度はその中身を一口だけ飲み込み。
後の残りをゆっくり楽しむ。これはどうしようか。
本当に麦茶にハマりそうだ。夏の麦茶がこれほど魅力的で美味しいとは知らなかった。
「あらあら。余程気に入ったのね。」
何処か嬉しそうに話す深見さん。その笑顔は少し眩しくて、
眩しい笑顔の理由が麦茶にがっつく自分を見られたからと分かり、
何とも言えない気恥ずかしさがこみ上げてくる。
あれだけ動いた後にこんな美味しい麦茶を出されては、大人ぶったりなんか出来ない。
だから僕の振る舞いは年相応で、詰まりは恥ずかしくなんて無い。
「あーその、はい。こんなに美味しいと思わなくて……。」
ちょっとばかり早口に成ってしまっても、年相応だから恥ずかしく無い。
「夏の麦茶は格別ですものね。」
深見さんは悪戯っ子の様に笑う。そんな笑顔の中にも
何処か品の様な物を感じさせられて、何だか流石だなと思える。
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