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「男手として、麦茶分は頑張ります。」
「まあ。頼もしいわ。」
苦笑いしながらそう答えるしか無かった。
此処まで来たからには仕方ないと立ち上がる僕を、
ころころと笑って見詰める深見さん。
その笑顔に何かを感じた気がしたけど、それが何かは分からなかった。
僕は頭を一度振って、難敵足る蔵へと向かう───
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
───薄暗い蔵の中。
中へは日が余り差さないからか、蔵の中は外よりも幾分か涼しい。
ただやはり暗い。蔵の中の電球が切れているらしく。
蔵の中には明かりが殆ど無い。辛うじて差し込む光と言えば、
開け放たれた蔵の出入り口からと。蔵に入る前に深見さんから借りた懐中電灯の光だけ。
最初はこの中を全て掃除するのかと戦々恐々としたが、そんな事は無かった。
深見さんから言われたのは、蔵の中の埃を軽く払い。
母屋で使わなくなった小物を仕舞い込んで欲しいとの事だった。
「(あの悪戯なっ子な笑顔はそのままの意味だったのかな……。)」
『蔵の中のお掃除は子供には危ないからね。』とは深見さん。
流石の僕も中を見て、どう音を上げようかと考えたが。何とか成りそうだ。
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