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扉は“ガタガタ”と音を立てるだけで一向に開かない。これはつまり。
「閉じ込められた!」
思わず大きな声を出してしまう。いや、それもこの状況なら当然だよ。
何せこんな蔵の中に閉じ込められたのだから。
僕は扉を“ガンガン”と叩きながら。
「深見さん! 蔵に閉じ込められましたー! 深見さーん!」
助けを求めて叫んで見るが応答は無い。深見さんは母屋で此処は蔵。
距離的に声は届かないのだろうと思ったけど、やっぱりだった。
僕は扉に背を預け、ずるずると座り込み。
「はぁ……。」
溜息を一つ吐き出す。困った事態だが、まあ何とか成るだろうと、僕は楽観視していた。
僕が蔵に居るのは深見さんも知っている事で、
何時までも戻らないと成れば様子を見に来てくれる事だろう。
そこで深見さんに助けを呼んでもらえば良いだけ。
それが何時に成るかは分からないが、幸いな事に蔵の中は蒸し風呂って訳でもないで、
この中で脱水で倒れる事は今の所無さそうだ。
後は暇な時間を過ごし、大勢の大人に大丈夫かと言われながら蔵の外に出る。
その時を待つだけ。
閉じ込められた事に緊張もしたが、どんな状況でも人間は成れてくるらしく。
少し立つと緊張感も次第に薄れていった。
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