第一話 第三章

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 “タタ。タタ。タタ。”と定期的に音を鳴らしている。  音の方へ懐中電灯の光を向けて見る。だけど音が聞こえるのは蔵の奥で、  積まれた物に遮られて音の発生源に光は届かない。  近づかない限り此処からは見えそうにないなぁ。 「(ホラー物とかだと、確かめに行ったら何かあるパターンのやつだよね。)」  かと言って確かめに行かなくとも何かあるのがホラー物だ。  いやいや、何でホラーで物を考えるんだ。こんな状況でより一層自分を追い込んでどうする。  僕はゆっくりと立ち上がり、懐中電灯で足元を照らし。 「(行きたくはない、行きたくないが。確かめにずに居るのも、ね。)」  これはホラーではなく、今現在起きている現実。  なら物音の正体も確かめられる物だ。正体不明の音に怯え続けるよりも、  さっさと確かめてしまおう。  真っ暗な蔵の中を慎重に奥へと進み、蔵の一番奥。二階へ上がる梯子の近くまで来ると。  “タタ。タ……。”定期的に聞こえていた音が止まる。いよいよホラー染みて来た現実に、  やっぱり確かめに来るんじゃなかったと。僕の胸の内で後悔がもたげる。  だが今更遅い、此処まで来た、来てしまったのだ。  最早確かめずに戻るなどと言った選択肢は無い。多分。     
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