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梯子近くまで来た事で、音の出処は大凡分かっっている。音は梯子の隣に積まれた
荷持の隙間辺りから聞こえていた。
僕は梯子の眼の前に着くと、図らずも唾をゴクリと飲み込む。
「(これじゃ何か無くてもありそうじゃないか……。ええい!)」
意を決して音のした方へと体ごと懐中電灯の光を向ける。
「……?」
光の先には物が積まれているだけで、特におかしな物は無い。
油断した所で? と思いながら辺りを注意して見ても、やっぱり何も無い。
まあ、不思議体験なんてこんな物か。安堵の溜息が一つ漏れる。
と、不意に。“ふぁさり”なんて音と共に柔らかな感触を右腕に感じる。
何かが上から飛来し、僕が物音を確かめる為に向けて居た右腕落ちてきたらしい。
「───!───!」
心臓が飛び跳ねる程びっくりしたが、悲鳴も身じろぎも起こさない。起こせなかった。
僕は本当に驚いた時は身動き一つ出来ないらしい。
ああそう言えば。昔から僕は驚いても周りにはそうとは見えない、と良く言われてたっけ。
アイツも『顔面の筋肉が死んでるのか?』なんて失礼な事をほざいていたな。
じゃない。そうじゃない。現実から遠ざかろうとする自分の意識を引き戻す。
僕の右手には何かが乗っている感触が今も残っている。一体何が……。
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