第一話 第一章

1/14
前へ
/69ページ
次へ

第一話 第一章

 ───学校からの帰り道。男子生徒が二人連れ立って道を歩く。  夏休み前。学校最後の投稿日を終えて、家へと帰る道の途中。  隣を歩く友人が不意に僕へと向き直り。 「じゃっじゃーん!」  なんて効果音を自分で出しながら、片手を此方に突き出してくる。  突き出された手には免許証らしき物が握られていた。  パッとそれを見た僕は、角刈りの似合う友人に聞く。 「どっかで拾って来た?」 「何でだよ! おれんに決まってんだろ!  つか拾ったもんを『じゃじゃーん!』何て言いながら見せるかよ!」 「そりゃそうか。」  言われてもう一度握られた物をよく見れば、  顔写真の部分が友人の指で隠れていて分からなかったが。  名前は確かに友人の物だった。本当に拾った訳じゃ無いらしい。 「へぇー凄い。いつの間に取ったんだ?」 「この前風邪で学校休んだ日があったろ?  実はあの日さ、俺試験を受けてたんだよー。」  友人は“へっへー”と笑いながら、僕にズル休みの告白をした。  また何かのゲームの発売日かと思っていたけど、今回はこれか。  免許書を自慢出来て気を良くしている彼は話を続ける。 「免許はゲットした。後はバイク。     
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加