第二話 第一章

2/20
前へ
/48ページ
次へ
 何て考えながらボウルの中身を混ぜていると。  変な鳴き声を上げながら、店長が開けっ放しの隠し扉から姿を現し。  そのままカウンター席へと雑に腰掛ける。  僕はボウルを置いて、その店長の前に飲み物を差し出しながら。 「おはようございます店長。」 「おははー。」  等と店長は適当な返事をしながら、差し出された飲み物をぐいっと飲み干し。 「麦茶美味しーっ!  改めておはようございます、バイト君。」  寝ぼけ眼だった目はスッキリと見開かれ。意識が覚醒した様子。  相変わらず凄い変わり様、だけどそれも日数を重ねれば慣れてしまうもので。 「おはようございます。」  僕は特に驚く事も無く対応する。  店長へ返事を返しては再びステンレスボウルの中身を混ぜ始める。  その作業を笑顔で見詰めて来る店長。僕はそんな店長へ。 「……今日もですか?」 「勿論です。  良いですか? バイト君。調理担当の腕前を日々確かめる事。  これはカフェのマスターである私に課せられた重大かつ───」  ノリノリでそれっぽい事を語り始めた店長。  調理が終わるまでの間は何時もこんな調子だ。店長の語りを聞き流しながら、  僕は少し前の出来事を思い出す。     
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加