第二話 第二章

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「……それが良い。」  言いながら男の子の頭の上に手を軽く乗せ、少しだけ擦る。  手を退けるとずれた帽子を男の子が直している。  男の子から視線を外し、目を閉じる。  果たして僕のアドバイスは正しかったのだろうか?  無責任に適当な事を言ってしまったのだけでは無いだろうか?  素直。それは僕には難しい物で、誰にだって難しい物だと思う。  もしかしたら、間違った事を言ってしまったかも。  吐いた言葉に自信が持てない。  ただ。嘘を言った積りだけは無い。それだけは確かだ。  僕だってそれが分かる程度には大人で。正しいかが分からない程度には子供なんだよ。  目閉じて一人吐いた言葉の重みを考えていると。  “ガサ…。”何て音が耳に届き。目を開ける。  右に座った男の子を見ると、怯えた表情で遠くの茂みを見詰めていた。  僕も男の子が見詰める茂みを凝視する。僅かにも揺れていない茂み。  すっかり忘れていた事だけど。僕が見た、と思っていた少年は誰だったのだろう?  この山には危ない生き物が居た。何て話は聞いた事が無い。 「あのね。」  隣の男の子が小さな声で話し掛けてくる。 「ぼく、お花を探してる時に、何かに見られてる気がしたんだ。」     
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