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嫌な想像が頭に浮かび掛けた所で、茂みとは違う方からそんな大きな声が聞こえた。
反射的に僕は声の方へと振り返る。其処には遠目に子供が手を振っているのが見える。
明らかに怪しい。だけど、茂みのナニカよりも人間に見える誰かの方が断然良い!
そう思った僕は茂みへ視線を戻さずに、隣の男の子を抱え上げては走り出す。
「(重い!暑い!暑い!重い!)」
等と頭の中で連呼しながら、遠くで手を振る子供の下へと走る。
遠目に見えた子供は距離が近付くと。
「ついて来て!」
っと言って走り出した。嘘だろ! まだ走らせるのか!
誇れる事じゃないけど、僕は運動は好きじゃない! そう心で叫ぶ。
必死に走っていると抱えた男の子が不安そうに。
「お、おにいさん。」
「後ろは見るなよ! 多分見たらいけない気がするから!」
「うん。ぼくもそう思う。」
とても現実的な言動とは思えない言葉が出てきたが、
抱えた男の子も同じ事を思っていたらしい。
後ろを見たくないのは本当だ。何故なら、直ぐ後ろにソレが居ると感じるから。
どうしてか、その嫌な事実に僕は絶対の確信が持てる。
走り出した直後から思った事だが、ソレが振り切れない。
ソレが直ぐ後ろに居る。どれだけ走って走って走り抜いても、
振り切れるとは一向に思えない。
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