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疲れと得も知れない恐怖心から、何とも言えない思いが胸の内に広がり。
それが全身へと染み込むよ様な感覚。指先から足先まで。
全身に纏わり付くような不快感。
その不快感が足に集中しそうに成った所で、僕は頭を一度強く振る。
と、前を走っていた子供が大きな茂みに突っ込んで行く。
茂みは走っていた子供よりも大きい、と言うか自分よりも大きそうなその茂み。
僕は一瞬も迷わず。
「茂み突っ切るから! 目、瞑って!」
抱えた男の子にそう言い、男の子を枝葉から守るように抱え直しては、
茂みへと体ごと突っ込む。“ガサガサ”と耳元を枝葉がこすれる音がする。
枝葉で目を切らない様に僕も顔を少し背けながら、茂みを通る中。背後で。
「───待てッ!」
そんな声が聞こえた気がして僕の心臓が跳ね上がる。
間違えたかも。そんな思いが頭中を埋め尽くしながらも、茂みの向こうへと着いた。
「……。」
恐る恐る背けた顔を前に向き直し、辺りを確認する。
どうやら自分がいるのは、周りを茂みに囲まれた小さな広場の様だ。
その円のような広場の少し奥まった場所。
其処には長方形の木で出来た社が置かれ、中にはお地蔵様が収められていた。
これとんでもない物を見付けてしまった気がする。そして。
「(息苦しくない?)」
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