0人が本棚に入れています
本棚に追加
第二話 第三章
───三人は舗装された道へと戻ってこれた。
山で迷ったのは一時間程度だったが、舗装された道に戻れた瞬間。
これ以上無い安堵感が満ちるのを感じた。嬉しくなった僕は。
「本当に道が分かってたんですね。見直しました店長。」
「もっと褒め給えよ。つっても殆ど勘だったけどねー。えへ。」
「前言撤回ですよ店長。」
「うそぉ!? 勘ってあれよ? 経験に基づく───ってやつ。」
言い終わると店長は“ね?ね?”と言った顔をしている。
そんな店長は無視して、僕は手を握って歩くケン君へと視線を下ろし。
そこで気が付いた。彼の頭にあるべき物が無い。
「あれ? ケン君帽子は?」
「お礼に置いて来た!」
元気いっぱいの返事に、思わず僕の頬も緩んでしまう。
「(お礼って多分あのお地蔵様にだろうなぁ。
まあお礼なら取りに戻らなくても良いか。良いよね。)」
僕はそう考え、ケン君から空のペットボトルを回収する。
それにしてもこの子は強い子だ。僕が同じ年に同じ経験をしたら、
きっと泣きじゃくっていたに違いない。本当にしっかりした子だ。
その後。店長に導かれて舗装された山道に出た僕たちは、そのまま下山する事に。
最初のコメントを投稿しよう!