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早口でケン君のお母さんへ話す。僕はお礼には慣れてない。
「いいえ。あの子の為に貴方も頑張ってくれたのでしょう?
貴方が見付けてくれなければ、今頃あの子が山でどれだけ心細い思いをしていたか……。
そう成らなかっただけでも、私にはとてもありがたい事なんです。」
母親は柔らかく一度微笑む。
その笑顔を向けられるとやはり何かこう、僕は変な感じだ。
ケン君の母親は僕を見てはもう一度微笑み。
今度は店長の方へ向き直っては、また深々と頭を下げ様とした所を。
「それ程お気になさらず。我々も当然の事しただけですから。
息子さんが無事で何よりです。」
店長は手を軽く前に出してそれを制し。毅然とした態度で母親に話している。
この人もやれば出来る人なんだなぁ……。等失礼な事を思っていると、
母親と話している店長が此方チラリと見て来る。僕は慌てて視線を外す。
どうやら勘が鋭いのは嘘じゃないようだ。
「おにいさん。ぼくらが作ったやばいお城。見に来てよ!」
「うん。一緒にみにいこ!」
僕らが母親と話している間に、すっかり仲直りしたらしい二人の子供が、
此方もお礼とばかりのお誘い。でも山で迷った後だしなぁ。これは悩む。
「ケン。貴方も此方のお兄さんも疲れてるでしょ?
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