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第三話 第一章
───茹だる暑さとは無縁の喫茶店内。
バイトに来た僕は、カウンター裏で食材の賞味期限をチェックしていて気が付いた。
期限の迫った物はまとめて置いてく様にしていたのだけど、
それが今日見てみるとごっそり減っていた。と言うか粗方無くなっている。
これには泥棒でも入ったかと心配───し掛けたけど。
「はよよーはよよー。」
意味不明な挨拶と共に、店長が開けっ放しの隠し扉から出て来て。
その両手に空のペットボトルやら何やらを大量に抱えているの見て。僕は納得した。
「おはようございます。
店長、それ全部食べたんですか?」
「ああ? うん。
賞味期限切れたのはお客に出せないし。
そのまま腐らして捨てると勿体無いからね。ガッツリいきましたよ。」
言いながら店長は店の奥へ。多分抱えたゴミを捨てに行ったのだろう。
店長の心配も分かる。何故ならこの店には客が全く来ない。
比喩でも何でも無く本当に客が来ないのだ。
偶に小夜さんが寄ってくれる程度で、それ以外では二日に一回客が来るか来ないかだ。
それも道を聞こうとして入って喫茶店と知り。じゃあ次いでにー。的な人が殆ど。
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