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「まさか。此処までの物は初めてだよ。」
「ここまででは無い物?」
「うん。まあ……。」
二人っきりは苦手だ。特に相手が僕の話を聞きたがっているなら尚更。
だけどまた見詰められてもそれはそれで困るので、僕は最近の不思議な体験を彼女に話す事に。
それは蔵に閉じ込められた話し。それは山で迷子になった話し。そして。
「今のこの状況って事だよ。」
「へぇー……。蔵に山で、ね。」
彼女は僕の話をやけに真剣に聞き、何か納得した様子で聞き終えていた。
話した内容はかなり不可思議で。聞いたらちょっと距離を置きたくなる様な類の物。
僕が普通の日常で聞かされたら多分距離を置く。
そう言えば、この不思議体験を人に話したのは始めてだ。
周りの人に話す時は端折った不思議部分だったのだが、つい話してしまった。
まあ今まさに奇妙な体験を共有しているのだから多分大丈夫だろう。
それに、何か彼女になら話しても問題はない。そんな気も───
「───」
ふと。僕は窓の外へと一瞬だけ視線を向けた。
何気ない自然な行動。だけど、その視線を元には戻せなかった。
何故なら。視線を向けた先、二階の窓一面には黒いナニカがびっしりと張り付いていたからだ。
「うわ!?」
「!」
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