第三話 第三章

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 僕は思わず立ち上がって叫んでしまった。だって、  あんな不意打ちでホラーな物を見せられて、ビビらない訳がない。  叫び上げた事で彼女も窓の異変に気が付いた様だ。  だけど、音を立てたのが不味かったらしい。  張り付いた黒いナニカは“ガガガガガガッ!”っと激しく窓を揺らして、ガラスに亀裂が走る。  今にも割れそうな窓を見て。 「逃げよう!」  僕は返事も聞かずに彼女の手を取って、教室から急いで出ては扉を閉めた。  閉める間際、教室内から“ガシャーン!”と四度ほど音が響く。  それと殆ど同時に“ビタビタビタビタッ!”っと閉めた扉に教室の中から勢い  よく黒いナニカが打つかって来た。  僕はビックリして扉を見詰めて後退る。扉の窓は真っ黒に塗りつぶされて中が見えない。  だけど、塗りつぶされた窓はナニカが蠢いているみたいで、見ていると気分が悪くなる。  まあ視線を外せば取り敢えずは落ち着ける。事も無かった。  暫くすると今度は扉が激しく揺れ始め、今にも開きそうだ!  これは不味いと僕は女子生徒の手を再び握っては中央階段へ走る。  その背後で大きな音が聞こえた。何か硬い物が壁に叩きつけられた様な、  まさに扉がぶち破られた様な、そんな音が廊下に響き渡り。     
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