0人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当にもうっ! 勘弁してよ!」
情けなく叫んだのは僕だ。叫んで気を紛らわせでもしないと、
怖くて足が止まってしまいそうだったからだ。
叫んだお陰で気分は多少は良くなり、足を止める事も無く中央階段へ走り付き、そして急いで下る。
すると案の定四階へと飛んでしまうが。嫌悪感の固まりみたいな物は遥か下。
どうやらアレは飛べないらしい。今のうちにどっかの教室に隠れようとして。
両方の方向から一斉に“ガガダダダダダ!”なんて怪音が鳴り響き。
見れば全ての教室の扉が激しく揺れている。
「うわぁ……。」
「逃げ場が無くなりましたね。」
流石の彼女も危機感を感じているのか、声が少しだけ震えていた。
男子として何か声を掛けてあげたかったけど、僕には手を取って此処まで逃げるのが精一杯だ。
そんな中、不意に悪寒を感じた。それと同時に下の方に感じていた不快感が溢れ出す。
溢れ出した不快感は中央階段と左右の廊下端の階段。
其処から這い上がって来る気配が伝わって来る。
「(本当に逃げ場が無い!)」
今のこの状況はまさに絶体絶命。
いっその事アレに捕まってみようか。もしかしたら捕まった瞬間気絶して、
間が覚めたら助かってるかも知れない。
最初のコメントを投稿しよう!