第三話 第三章

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「本当にもうっ! 勘弁してよ!」  情けなく叫んだのは僕だ。叫んで気を紛らわせでもしないと、  怖くて足が止まってしまいそうだったからだ。  叫んだお陰で気分は多少は良くなり、足を止める事も無く中央階段へ走り付き、そして急いで下る。  すると案の定四階へと飛んでしまうが。嫌悪感の固まりみたいな物は遥か下。  どうやらアレは飛べないらしい。今のうちにどっかの教室に隠れようとして。  両方の方向から一斉に“ガガダダダダダ!”なんて怪音が鳴り響き。  見れば全ての教室の扉が激しく揺れている。 「うわぁ……。」 「逃げ場が無くなりましたね。」  流石の彼女も危機感を感じているのか、声が少しだけ震えていた。  男子として何か声を掛けてあげたかったけど、僕には手を取って此処まで逃げるのが精一杯だ。  そんな中、不意に悪寒を感じた。それと同時に下の方に感じていた不快感が溢れ出す。  溢れ出した不快感は中央階段と左右の廊下端の階段。  其処から這い上がって来る気配が伝わって来る。 「(本当に逃げ場が無い!)」  今のこの状況はまさに絶体絶命。  いっその事アレに捕まってみようか。もしかしたら捕まった瞬間気絶して、  間が覚めたら助かってるかも知れない。     
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