第三話 第三章

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 勿論そうならない場合もあるだろう。それを自分の命を掛けてまで確かめたくは無い。  何よりも、アレに捕まっても良い結果になるとは心底思えないからね。  でももう逃げ場がない。逃げ場が……?  中央階段を振り返り眺める。下から近付く不快感を他所に上への階段。  屋上へと続くその道。屋上に行っても逃げ場は無いだろう。 「(だけどそれは此処も同じ。  だったら確かめないで捕まる前に!)」  僕は屋上へと向けて階段を上りだす。手を握ったままの女子生徒も連れて。  階段を上って直ぐに屋上への扉見える。僕はその扉に鍵が掛かってない事を祈りながら、  ドアノブへと手をかけ押し───開いた!  直ぐ様扉を二人で潜っては急いで扉を閉め、背で抑える。 「(屋上に出たは良いけど。)」  見渡してみえたのは屋上にあって然る可き高い金網フェンス。それ以外には。  扉を背に右を向けばフェンスの向こうに空が見え。左を見ては非常用と書かれた扉。  やっぱり何も無い。何も無い屋上は行き止まり─── 「!!!」  ───じゃない! 僕は中央に戻した視線を左へ“バッ”と向ける。  視線の先には非常用と書かれた扉。僕は女子生徒と顔を見合わせ。  そして一緒に走り出す、非常用扉を目指して。     
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