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思わず脅かそうかとも思ったけど、心配している相手に悪巫山戯は良くない。
僕は素直に。
「窓の外を見てみて。」
『なな、なんでだよ! お前は誰なんだ!?』
「良いから。」
疑っている友人。着信には名前が出てたと思うんだけど……。
スマホの向こうでは三人が何事かを話し合う声が小さく聞こえる。
それは幽霊が掛けて来たとか、罠だとか、そんな話し合いが暫く続き。
どうやらやっと窓の外を見る事にしたらしい。
校舎の中から外を見たのは女子二人。僕を見てビックリした様子の彼女達へ手を振りながら。
「その教室は見ずに外に出て来て。」
それだけ言って通話を切り、スマホをポケットへ仕舞う。
もっと丁寧に説明しても良かったのだけど。
下手に事情を話して教室への興味を誘ったら困る。
勿論僕が直接上がって行ってと言う話も無しだ。あんな体験をした校舎に、
もう一度入りたいとはとても思えない。
暫く外で待っていると。正面玄関から三人が姿現し、此方へ駆け寄って来て。
「何でだよ! イリュージョンか?マジックか?
やっぱイリュージョンか!?」
「どどどして!?」
「───!───!」
友人は捲し立て。平山さんは一人は興奮した様子で。
渡辺さんは平山さんの袖を掴んでは、出て無い声で何事かを叫んでいる。
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