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エピローグ
───夏休みも過ぎ去った後の喫茶店。
林道の休憩所に立てられた喫茶店。その建物の前に少年が一人立っている。
少年は建物を少し眺めた後。店の扉へと手を掛けた。そして。
“カランカラン。”店のドアベルが鳴り響く。
少年は扉を引いて店内へ。明かりの点いている店内を少年は歩き往く。
やがてカウンター席の一つへと腰掛けた。
彼が腰掛けたカウンターの向こう側には女性が背を向けて立っている。
暫くして、髪を後ろで縛り止めた女性は少年へと振り返り。
「いらっしゃい。お客さんかな? それとも───」
女性は言葉を其処で切った。
少年は女性を真っ直ぐと見て。
「ただのバイトです。」
そう言い放つ。言葉を受けて女性は“ニヤリ”と笑い。
「なら面接をからだね。」
そう言って少年を見詰め、女性は暖かく微笑んだ───
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「面接があるんですか? じゃあ他に行こうかな。
あ、店長の我儘に付き合えて、深夜の意味不明なSNSでのやり取りにも付き合ってくれる。
そんなバイトが見付かると良いですね。」
「嘘嘘! 採用!
採用するから!」
「ありがとうございます。」
「全く交渉上手だな。笠原君は。
ふふ。そんなにこのマスターの居る喫茶店が好きになったのかな?」
「うわぁ……。」
「せめて何か言っておくれよ!」
喫茶店に、いつか聞いた喧騒が響く───
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