4 ヘヴン

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4 ヘヴン

   私たちが十三歳まで暮らしていたのは、箱庭のような、山に囲まれた半径五キロの世界だった。学校があり、男女別の寮があり、きれいな小川とサマーキャンプと、ヘヴンのフォーラムに似たモールがあった。モールにはショップやレストランやスポーツ施設があった。学校が終わると、そこに集まって、十一対十一のミニカッセンに興じた。  そこでの私はQレイファに負けず劣らず自我が強く、なんでも一番を取らなければ気が済まなかった。学校では誰もが人気者になるために必死だった。私は、勉強、スポーツ、ダンスに音楽に男の子の振り向かせ方など、各分野にそれぞれ手ごわいライバルがいたが、ことごとく競り勝った。はじめはちやほやされたが、やがて他人に興味を示さない私をまわりは避けるようになった。 卒業間際の高学年になったとき、気付けば、幼馴染のモニカを除いて、私のそばには誰も居なくなっていた。そんなモニカともずっと同じクラスではないので、私は学校で孤立することが多かった。ミニカッセンのチームもフェイドアウトするように辞め、休み時間は教室で一人で過ごした。     
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