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「なんだ? ケンカでもしたのか?」と鬼原が笑えば、旺佑は不機嫌を絵に描いたようような表情を浮かべる。
「放っておいてください」
「……目を離して大丈夫なのか?」
なにから、とは言わず、意地悪な笑みを口もとに浮かべる鬼原。
「……お姫さまが、悪い魔法使いに攫われるかもしれないぞ」
三十路のおっさんが、なにを言っているんだ。
旺佑は、ため息をついて、目を閉じた。
あと一時間もしないうちに、彼はこの言葉の意味を知ることになるのだが。
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