金色キツネの、甘美な策略。

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茨木(いばらき)」 受話器越しではなく、もっと近くから鬼原(きはら)の声が聞こえる。その刹那(せつな)、力強く腕を引かれた。 「琴音(ことね)さんっ!?」 保志(ほし)の声が聞こえたが、振り返ったときには、琴音の身体は車外にあった。鬼原の胸に頭を押しつけるようにして、抱きしめられていたのだ。 「「なっ!?」」 琴音と保志がふたり同時に叫ぶ。 だが、その声は発車のベルにかき消されたのだった。
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