4870人が本棚に入れています
本棚に追加
/579ページ
やられたっ……!
旺佑は悔しさに唇を噛む。
発車時刻が近づいているにも関わらず、席に戻らない琴音と鬼原を不審に思い、追いかけてきた矢先の出来事だった。
無情にも閉まった扉の向こうでは、琴音の頭を胸に抱いた鬼原が、挑発的な笑いを浮かべている。だが、その姿は、あっという間に見えなくなった。
すぐさま琴音の携帯電話を鳴らしたが、“電話に出ることができない”というアナウンスが流れる。
旺佑は盛大に舌打ちをして、発信を取り消した。その次の瞬間、スマホが震える。非通知の着信だ。
「……保志です」
最初のコメントを投稿しよう!