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粟田と名乗った三十代半ばの男性は、保志を見るなり少し驚いた様子だったが、すぐさま倉庫に案内してくれた。
倉庫の入り口には、目的の商品が入った段ボール箱が積まれていた。あとは積み込みを待つだけの状態だ。
琴音と保志はジャケットを脱ぎ、急いで段ボール箱をトラックの荷台に積み込む。「僕たちも手伝いますよ」という言葉に甘えて、粟田を含めた数名の男性スタッフが助けてくれたので、作業は一時間もかからず終了した。
「無理を聞いていただいたばかりか、みなさんのお仕事を増やしてしまい申し訳ありません」
恐縮する琴音に、「困ったときは、お互いさまですよ」と粟田は笑った。
「いやね、昨日お電話いただいたでしょう? それを社長が、あー、オレの親父なんですけどね、『モリノコーポレーションの会長には生前、大変世話になった! その恩を返すときがきたんだ!』ってはりきっちゃって」
思い出したように粟田が肩を揺らす。
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