いばら姫は、森の奥。

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「っ!?」 入社二年目コンビが目を丸くする。 なぜか、ふたりとも顔が赤い。 「どうしたの?」 琴音(ことね)が首を(かし)げると、保志(ほし)は口元に手をあて視線をそらし、宮田はうっとりした様子で口を開いた。 「主任、かわいい……!」 思いもよらない感想に、今度は琴音が顔を赤くする。 かわいいって、私もう二十八歳なんだけど……。 嫌悪感はないが、居心地の悪さを感じ、モジモジした。 「……茨木(いばらき)、さっさと納品行ってこい」 あきれたように息を吐いたのは、四宮(しのみや)課長だ。いつの間にか、三人の後ろに立っていた。 「すみません、課長。気づかなくて」 四宮は「いや、謝るところ、そこじゃないから」というツッコミを入れようと思ったが、疲れるだけだからやめておくことにした。
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